2001年10月ハンギョレ新聞 10月29日号

オ・テギュの東京リポート
"日本の食堂は韓国とずいぶん違う"

日本の食堂の雰囲気は、韓国とずいぶん違う. 韓国の場合, 食堂は食事をする場所であり, 同僚たちとの対話の場所だ. 事務室の公式的な雰囲気の中で交わせない個人的な話や、上司の悪口なども、主に食堂で食事をしたり酒を一杯呑みながらする場合が多い. したがって、韓国の食堂の雰囲気は沸きかえっていて活気がある.
しかし、日本の食堂にはこういう雰囲気がない. 極端に言えば, 空腹を満たしたり, 味を楽しむ場所として限定される場合が多い. それほど食堂とは、韓国と日本の文化的差異をたくさん感じることができる所でもある.



韓国は対話形, 日本は孤独型

このような特性を最もよく見せているのが、席の配置だ.韓国の食堂は、主に席が互いに顔を向け合って話すことができる`対話形'で配置されている. また、一般的にホールで食べるより, 部屋で食べることを好む. したがって、食事時間も長くなり, 食事時間を利用した対話もたくさん行き来する.
反面, 日本の食堂は、厨房を中心にしてぐるりと囲んだ`孤独型'の席が中心の場合が多い. また、食堂の外側のに向けて席をパノラマ式に配置する場合も多い. こういう方法で、そばの人の顔よりは、厨房職人や周辺の景色に向かい合うやりかたで席が配置されてあるので、周囲の人と話す機会が減る.

自然に食事時間が短くなるしかない構造である. もちろん、日本にもホールや部屋で一行が対話をしながら食べることができる座席配置がないわけではない. しかし, どの食堂でも、一人で来るお客さんのための配慮は、韓国に比べて優越している. こういう文化のためか、韓国では一人で食堂に行くことが非常に心もとないが、日本では一人で行くにも全く気軽だ.



食事代金は各自で出すのが原則


日本では同僚や友人たちが一緒に行っても、食事代金を各自が出すのが原則だ. 食堂の店員が注文した内容によって、個人別に領収書を持参する場合も多い. そうでない場合にも、計算する時、店員が "まとめて計算しましょうか. 別々に計算しましょうか"と確認する.
韓国も、最近では各自が食事代金を払う動きが増加しているとしても, いまだに職場の上司や年齢が若くない人が出す慣行は相変らずだ. 日本は、韓国人が見ると激しい程に各自払いにしつけられているが, 韓国は職場の上司や年長者の場合、もし自分が払わなければ体面が損なわれるのではないかと考える程に一人払いの慣行が厚い.

日本で仲間たちと一緒に食堂に行った時のことだ. 空腹で足も痛い状態なので、一刻も早く席に座って注文をしたいと思って食堂に入った.
しかし, 既に食事を終えていた20代の女性4〜5人が10余分も席で粘ったまま座っていて、席が空くまで待つしかなかった. 彼女たちが各自食べた食事の代金を1円単位まで計算機で精算しようと、席を立たなかったためだ.

日本で食事代金を各自出す慣行がいつから定着したのかはよく知らないが, 何もないところから生まれるお金のない社会が作った慣行ではないかと考える. もちろん、日本の人々も、自分の金でなく、会社の金で接待をする場合には、各自払いに拘束されずに、果敢にお金を使うらしい.

韓国も、友人や同僚たちの間で会う場合、合理的にお金を払う習慣は習う必要があるとみている. お金に対してお互いに負担を感じなければ、互いに会う機会も多くしたくなるためだ.



美味いと噂された店は1時間でも待つ


ご飯を食べる時、韓国人と日本人の間に大きな差が出るうちのひとつが、待つことだ.

日本の人々は、おいしい店だと噂された店は30分, 1時間でも待って、その料理を食べて行く. 反面, 韓国人はどんなにおいしい店でも、10分以上待つ場合は稀だ. そこで待つよりは、すこし味は落ちても早く食べることができる所を探す場合が多い.
わたしの事務室の近くにも、雑誌に出てくる程に有名なラーメン店がある. その店の前には、毎日昼の11時30分くらいにはお客さんが列をなし始め、30メートル程の列をなすことは普通だ.
しかし、その店のすぐそばにあるもう一つのラーメン店は、いつでも入れる程度に閑散としている. 私の場合は、当初おいしい店を狙って出発するが, 5名以上, いや1人でも待たねばならないという気がすれば、自然に隣りに方向を定める.

しかし、日本人は微動だにしない. 実は、私が行列が並んでいる店よりも、いつでも入ることができる店に方向を定めるのは, 何十分も列をなして待つ程の味の区別ができないためである.

しかし, これは、味もそうだが、二国人間の性格の差から始まったことが大きくはないかと考える. 日本人は料理の味を吟味するために食堂を訪ねるが, 韓国人は空腹を満たして話をするために食事をする習慣があるためではないかと自ら推測してみる.
しかし、日本で長く暮らしている友人が"はじめは、私も絶対に待ってまで食べなかったけど, 待つ店はやはり違うということがわかったよ" と話すのを見ると, 私の日本経験がまだ浅いということが明らかなようだ.



日本の飲食店のいくつかの特性


日本の飲食店には、この他に、韓国にはないいくつかの特性がある.
その中のひとつが、同じ料理でも昼食が夕方より安いということだ. 大部分の食堂は、正式メニューの他にランチタイムメニューというのを作って、昼食時は夕方の食事代金よりもだいぶ安い. メニューによって違うが, 夕方には1000円以上のものがランチタイムには700円程度で出されている.
韓国ではほとんど見ることができなかった風景なので、一度、食堂の主人に "なぜランチタイムメニューは安いのですか”と聞いてみたら、"昼食をサービスで安く提供してお客さんをつかんでおいて、夕方にたくさんくるようにしようという戦略でできたこと"だと話してくれた.
とにかく, ちょっと高く見える食堂に入っていっても、ランチタイムメニューを選択すれば、思ったよりも安い価格で良い昼食を食べることができる.

また、日本の食堂は韓国の食堂のように朝に店をあければ夜閉める時まで営業をそのまま続ける場合が稀だ. 特に, チェーン形式の飲食店ではなく、個人がしている飲食店は、大部分が昼食時に3時間程度営業をして一旦閉めた後,夕方にまた店をあける.

韓国のようにおなかが空いたらいつでも食堂に行ってご飯を食べることができるわけではない. 例えば, 私が知っているかぎり、食堂は午前11時30分から2時までは昼食用の営業をして、2時から店を閉めた後, 6時からまた店をあけて10時まで営業をする.

その間の時間は、ドアに `準備中'という札を下げて営業をしない. お客さんがたくさん訪れる時間に集中的に営業をして、その他の時間は休むという方式だ. たぶん、これらの食堂の大部分が時間制アルバイトを雇用している場合が多いため、人件費を節約するための方策ではないだろうかという気がする.

食堂文化だけ見ても、`近い国, 大きな差'を容易に感じることができる.

オ・テギュ 記者 ohtak@hani.co.kr