[ 人の話 ] 2000年10月10日 第329号
“住民登録証返却が、それほど大きな決心が必要とされることだとは思っていませんでした.
返却は違法ではありませんよ.
しかも、学生証だけあれば、生活には大きな支障がないので…”
住民登録証返却運動に熱心な オ・ソギョン(22・ソウル大
電気工学部4)さんは、今回、‘国家権力がどれくらい怖く、人々の無意識に巣食っているか’をあらためて悟ったという.
住民登録証を返却する小さな実践も、‘正常な国民’には、とても難しい事だった.
当然、返却に参加するものだと思っていた後輩が、“父が公務員なんです”と、尻ごみして,
ある後輩は、“怖いですよ…”と逃げた.
9月25日から始まった、住民登録証返却運動に賛同したソウル大生は、計50余名.
思ったより多い数字ではなかった.
だが、共に繰り広げた‘指紋電算化廃止要求のための汎ソウル大人署名運動’には400余名が参加し、この運動の可能性を確認させてくれた.
返却運動は、指紋捺印拒否運動の地平を広げ、おませでちゃっかりした(?)
戦術だ.
一旦は住民登録証を作った人にとって、指紋捺印拒否運動は、参加出来ない運動だと見なされた.
だが、‘返却’という輝くアイディア一つで、誰でも参加できる運動になったのである.
この運動は、‘ソウル大
指紋捺印拒否の集い’を主軸に、今回初めて始まった.
“私は代表ではありません.
ただ、ちょっとだけ責任感を感じて、集いに参加する人であるだけというです.”
ソウル大 指紋捺印拒否の集いには代表がいない.
代表制度などという、他の人たちが‘当然だ’ということを彼らは疑う.
指紋捺印も同じだ.
“電算入力された、自分の指紋情報がどのように使われるか、国民は全く知らないんです.
誰の手に移って、どんな不利益にあうかもしれない、無防備状態にあるんです.
これは、一種の暴力です.”
10月6日、ソウル大生と社会団体活動家 15人は、光化門
世宗文化会館の裏庭に集まって集会をした.
とりあえず、全紙の大きさの厚いボール紙で大型住民登録証を作った後、写真を貼る所に穴をあけた.
その大きい穴に顔を突っ込んで、獄中に閉じ込められた春香(註:パンソリ「春香伝」のヒロイン)のようにしていると、過ぎ行く人々がちらちらと視線を投げかけた.
指紋捺印拒否を知らせる、効果的なパフォーマンスであった.
集会が終わった後、署名簿は直接行政自治部に提出した.
返納する住民登録証は、内容証明を確保するために、郵便局で登記して行政自治部に送った.
“わたしは行政自治部に入っていく時も、住民登録証を出しませんでした.”
まだ以前の住民登録証を固守しているオ・ソギョンさんの誇りだ.
シン・ユン・ドンオク記者syuk@hani.co.kr
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