初作品集 <呼兄呼弟>を編集して出した
漫画家 イ・ギョンソク… 転覆を夢見て、既存の価値に挑戦
(イ・ギョンソクの漫画は、独特な線と悪趣味的なユーモアで、非主流漫画の独自的領域を構築した)
イ・ギョンソク(29)の漫画は、あらゆる人に愉快なものではない.
落書きのようにむやみに重なる線,
善男善女とはかけ離れた登場人物, ‘ジュル〜ジュル’,
‘シュワー〜’ 音響効果まで加った分泌物の臭いのユーモア.
主流漫画では好まれない条件をおしなべて揃えた彼は、それで、アンダーグラウンド漫画家,
インディ漫画家と呼ばれた. 彼が活動した空間もやはり <ヒステリー>や
<ファンジン ゴン>のように、非主流漫画家たちの集る媒体であった.
93年にデビュー、95年から専業作家の道に入ったが、今回出された<呼兄呼弟>(マジックス)は、価格を付けて出された、彼の初めての作品集だ.
-主流雑誌を通じてデビューしましたが、これまでは印刷媒体で見るのが難しかったですね.
=93年 <デンギ>という雑誌の公募展で当選しました.
でも、次の月に作品を持って行くと、“絵ではない.”
“女が女ではないようだ”などとこき下ろされて、掲載を拒否されたのです.
その時にたいへん傷つき、その後、同好会で主に活動していました.
最近は、主にウェブジンに連載しています
.
-意図的に商業性を排除するのですか.
=そんなことはありません.
職場を辞めて、専業作家の世界に飛込みながら、商業的成功を収めてみたかったし、今でもそうです.
でも、これまでお金を払ってくれていた雑誌はみななくなって、原稿料のない所だけがずっと継続してきて、そちらで仕事をしてきただけです.
しかし、ぼくのスタイルを変えて、よく売れる作家になりたいとは思いません.
-生計はどのようにしていますか.

=いろいろなアルバイトをしてきた中で、3年前から新聞配達をしてきていて、
販売所で食べて寝ながら、余った時間に作業をしました(産業デザインを専攻したイ・ギョンソクは、専業作家デビュー前は広告会社のデザイナーとして活動した).
2月から連載を始めた漫画ウェブサイト ‘カートゥーンP’(www.cartoonp.com)から、(ぼくの基準では)
かなりの原稿料が出て、作業室を用意しました.
次月から‘本物’の専業作家として仕事をします.
-ある評論家は、イ・ギョンソクさんの
作品を‘楽しい転覆’だと評しました. 転覆したいのですか, 何を.
=既成世代が要求する価値観に反発したいのです.
ぼくの漫画に登場する人々は、汚らしくてお金もなくて,
既成世代から見たら、社会の不適応者で, 落伍者です.
しかし、単にネクタイを結ばず、毎日出勤しないからと、彼らが落伍者だと烙印を押すのは、誤った考えではないでしょうか.
-足の臭い, 口臭い, 汗臭い,
ふけ等、悪趣味なギャグが頻繁に登場する理由はなんでしょうか.
=汗のような分泌物は労働の結果です.
懸命に生きる人々はこういうことを隠して生きないけれど、既成世代はいつもこざっぱりしているように包装して、他の人たちにもそれを強要します.
ぼくの作品では、抑圧を受けている人々が、支配階層により嫌悪される要素で彼らをはね飛ばすのです.
主人公を追ってきた警察が、口の臭さで窒息して倒れるとか、という風に.
-‘イバルショポルノ氏’というバンドの客員ボーカルとしても活動されていますね.
=むかしからロック音楽が好きで、バンドもしたかったんです. <ロッカーの香り>を初めての連載物として作ったのもそのような理由です.
‘イバルショポルノ氏’は、ヒステリー メンバーだった
シン・イルソプさんと一緒に作って、二人がボーカルを受け持っています.
私の歌はあまりうまくないけど、イルソプ兄さんはもう少しうまいですよ.
(笑) 音楽も漫画作業の延長線上にあるんです. さる2月に出された1集には、<ダルペメン>を,
今回の夏に出される2集には、<金剛保安警と越境騒動>という作品の主題曲を収めました.
音楽も公演自体も漫画的に表現するのです.
-これからの計画は.
=作業室ができたので、作業により一層没頭できるでしょう.
今までは3〜4時間程度寝て仕事をしても、いつも絶対時間が不足していました.
‘カートゥーンP’と
ウェブジン‘コミックス’の連載を、まず充実させます. 5月には、<ヒステリー>に連載した
<ダルベメン>に手を入れて、単行本として出すことになります.
本がたくさん売れて、お金もたくさん儲けられれば良い(“本当にたくさん売れると思いますか?”という記者の質問に
イ・ギョンソクは笑いで返事に代えた).
キム・ウンヒョン 記者
dmsgud@hani.co.kr
ハンギョレ21 2000年 04月 13日 第303号 .
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