自生的 選手団体‘プロ野球選手協’発足…
スポーツ人の基本的権利を勝ち取ろうという身悶え
(写真/"屈従を振切って人間らしく生きたい."
さる1月22日の夜明けに開いた韓国プロ野球選手協議会創立総会)
さる1月22日明け方の1時30分,
一団のプロ野球選手たちがソウル汝矣島(ヨイド)63ビルディングに集まった.
球団の執拗な妨害のために予定よりも6時間30分遅い‘深夜’に開かれたこの集まりの名称は‘韓国プロ野球選手協議会’創立総会.
韓国にプロ野球が生まれて19年ぶりに、初めて自生的選手団団体が発足した瞬間だった.
選手たちは“韓国プロ野球史に新しい一ページを開いた”と宣言した.
“偏狭な利益団体に留まらず,
企業の広報手段に始まって広報手段に終わる、韓国野球の生まれながらの限界を、野球人自らの努力で克服する一助にする”という確認もあった.
続いて、ヤン・ジュンヒョク(ヘッテ) パク・ジョンテ(ロッテ)
カン・ビョンギュ(斗山) チェ・テウォン(サンバンウル)等、75名の選手たちは
ソン・ジンウ(ハンファ)を初代会長に選んで、力強い拍手で歴史的な選手団体誕生を確認した.
しかし、この日の朝、韓国野球委員会と8球団は、選手協参加選手全員に対して、事実上の解雇通知である放出決定を下した.
選手協を決して容認しないという宣言だった.
‘先駆者’たちは、僅か10時間にもならないうちに、断頭台に上がる殉教者の名簿に載った.
75名の選手(球団集計72人)たちに‘殉教’を余儀なくさせたこととは何だろうか.
(写真/球団は選手協参加者放出決定を下した)

韓-日スーパーゲーム出場選手たちの共感形成
昨年11月、日本で開かれた韓-日スーパーゲームの時、ヤン・ジュンヒョク
ソン・ジンウ
等の古参選手たちの部屋に三々五々選手たちが集まった.
この場面は、記者たちにも目撃された.
韓−日戦勝利のための団結ミーティングだったととりあえず言いつくろっていたが,
事実は‘巨事’のための準備だった.
選手代表たちは、その後も何回かの隠密な出逢いを通じて、共感を作り上げていった.
彼らの集いでは、まず、奴隷文書と違わない野球委規約と契約慣行に対する糾弾があふれ出たという.
運動だけをしてきて世事に暗い選手たちが、複雑な契約規定を知らないまま、一方的に球団に引きずられる事例なども列挙された.
選手の意思とは全く関係なく、勝手に選手を買って売るようになされている、現行トレード慣行に対する非難もあふれ出た.
“自由契約制度(註:いわゆるフリーエージェント)も実施すると言っておきながら,
実際に自由契約意思を表明した選手に‘不敬罪’を被せて引退を推奨する現実”の前で、選手たちは決定的に‘蜂起’を決心する.
銃隊を担ったヤン・ジュンヒョクは、この時から自身のエージェントの役割をしてきたスポーツマーケティング社
エスエム-ワンをはじめ、弁護士や大学教授などと接触して、選手協スタートに必要としたアドバイスを受けた.
彼らが、まさに野球委などから‘不純背後勢力’という指定を受けた、いわゆる‘選手会企画団’だ.
選手たちが民願を提出したことを契機に、‘企画団’の一員(?)になったクォン・シヒョン前国民会議
政策委
専門委員は“野球委規約と約款などを検討した結果、一方的に選手たちに不利な条項が多くて、ファンのひとりとして憤慨せざるをえなかった”とし、“しかし、企画団が利権をねらって選手たちを煽動したなどというのは、選手協を瓦解しようという謀略だ”と主張した.
とにかく、選手たちは彼らから選手団体設立の可能性に対する確信を得て,
パソコン通信 野球同好人等の支持を確認しながら、ついに、選手390人から加入申請署名を受けて、創立総会を開くに至った.
選手たちが秘密裏に動く間、球団も腕組をしてじっとしていたわけではなかった.
選手たちの動きに気がついた球団代表たちは、昨年11月23日、隠密に集まって選手労組絶対不可方針を確認した.
そして1月、最初から徹底した保安(秘密)の中で‘主動者’に個別的に接触して、選手協構成をやめるように懐柔した.
内外での陣痛の末に発足…
球団は時期尚早論主張
(写真/野球ファンの世論が重要な役割として作用する展望だ)
野球委と球団は“各球団が毎年数十億の赤字を出しながら球団をやっと運営している状況で、選手団体は“時期尚早”だと説得した.
“プロ野球に参加しようという企業が多くない状況で、選手労組を作る場合、どの企業がサンバンウル(註:サンバンウルは球団を手放そうと画策)の引受等、プロ野球参加にたてるのか.
時期的に不適切だ”という主張もした.
“一部勢力が利権のために、選手たちを煽動している”という主張も忘れなかった.
このような、球団の絶対不可方針は、選手協総会一日前の20日、野球委理事会で参加選手に対する再契約禁止等の超強硬制裁方針で具体化した.
野球委と球団の懐柔と脅迫は効力を発揮した.
当初、総会参加を約束した300余名中、会議当日の深夜12時に総会場に出てきた選手は100余名に終わった.
参加選手たちが揺れ始めながら、代表者たちのあいだに口喧嘩も行われた.
特に、LGと三星は、総会参席数をめぐって言い争いが行われながら、三星選手たちが退場し、一部のLG選手たちも席を立った.
総会が開く頃に一歩遅れて総会場に出てきた現代選手たちまで戻ってしまった.
結局、総会は三星と現代が抜けたまま‘中途半端’に終わり、選手協の前途に暗い暗い影を落とした.
この日、選手代表者会議
スポークスマンを引き受けた、斗山の若い投手カン・ビョンギュ選手は、このように話した.
“野球委総裁がプロ野球を放棄すると話していることを聞いて、プロ野球選手としてプライドが崩れたのを感じたが,
はじめて私達が何故この仕事をやり遂げようとしているかも、明確に感じられ始めた.”
総会以後、状況は予想したとおり、‘正面対決’にエスカレートしている.
選手協は、グラウンド外でファンたちに会い、選手協の当為性を訴えており,
球団は放出等の制裁方針を繰り返し明言している.
現代選手たちが何と42人も一度に選手協に賛同し、野球委と球団に衝撃を与えたが,
一方ではキム・ギテ
イ・スンヨプ等の他の三星選手たちが選手協不参加を宣言することによって、選手協に打撃をもたらせた.
さる1月24日、野球委は“選手協が自主解体しなければ、選手協参加選手を除いて今シーズンを行う”と発表した.
選手協もやはり声明を出して、“最終的に三星選手団の加入可否を確認した後,
定款承認等の必要とされる手続きをふみ、文化観光部に社団法人登録を申請する”と明らかにした.
野球委は また “選手協の背後に不純な第3勢力がある”と、選手協議純粋性に疑問を提起し,
選手協は“選手たちに対する陰湿な攻撃(註:「背後の勢力」からの)があるという偽りの主張に、野球委はあらゆる責任を負うべきだ”と正面から受けた.
今は感情まで激昂している.
現在の状況は、しばしば言われるように、向かい合って走る機関車という表現が似合うような局面だ.
しかし、この戦いは、素裸の身の選手たちと、刀の柄を握った球団間の正面衝突だ.
選手たちにとっては、次に、耐え忍ばなければならない試練の時間が待っている.
今は、野球ファンたちの世論を集めるべきだ
すると、選手協の将来はどのようになるだろうか?
現在は予測することができないが,
選手協が実体を認められるためには‘ファン’の役割が重要だという分析が多い.
球団は選手たちを追い出し,‘弱者’の選手たちは、これに対抗し、玉砕を覚悟している状況では、両者間に突破口が開かれるのは難しい.
結局、プロ野球を奉るもう一つの柱である野球ファン,
すなわち、市民の世論がどちら側に作用するのかが、事態に重要な影響をおよぼすことになるということだ.
これと関連し、経実連が“憲法が保障した結社の自由を認めなさい”とし、野球委と球団オーナーに“前向きに選手協を受け入れることを要求”したことは注目するに値する.
PC空間を通した各種世論調査で90%以上の支持を送っているネチズンたちが、どんな行動に出るかも注目に値する.
選手協事態に、市民団体が立ち入らなければならない理由は充分だ.
選手協問題は、単純に球団と選手間の利害の争いではなく,
本質的には、市民社会が要求する基本権に関する問題であり,
牽制と均衡,
協力と補完という、民主的意志決定構造をめぐった論議沸騰であるためだ.
選手協問題が単にプロ野球界だけの陣痛ではないという点に、今回の事態の本質がある.
イ・インウ記者/ ハンギョレ 体育部
iwlee21@hani.co.kr
ハンギョレ21 2000年 02月 03日 第294号 .
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その後の関連記事- ‘選手協’ 解決糸口見える(スポーツソウル紙)
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